占星術と魂作り 訳者のコメント

隠星

この論文は、鏡リュウジ氏がCOA(Company Of Astrologers), Bulletin No.15, 6 June 2001 に寄稿されたものです。貴重な論文を日本語に訳する機会を得たことを感謝いたします。論文の中では鏡氏の占星術に対する考え方が明快な論旨で展開されており、せひ英語の原文も読まれることをお薦めします。

論文を読ませていただいて、占星術を学ぶ一人として共感を感じる部分が多くありました。特に、チャートを読むということは、占星術のパースペクティブを通して世界を眺めることであるということは、日頃実感しているところです。クライアントから相談を受けたとき、真っ先に検討するのは、クライアントが直面している状況とチャートを照らし合わせ、チャートの中の天体が何を表示するかを見極めることです。アストロロジャーは、クライアントが説明する状況を吟味しながら、チャートに現れた象徴を通して世界がどのように見えるかをクライアントに伝えます。クライアントは、アストロロジャーから新たな見方を提供されて、問題解決の糸口となる事柄に気づくことも多々あります。クライアントが気づいた事柄をアストロロジャーにフィードバックすることにより、アストロロジャーはさらに深くチャートを読み解いていく。あたかも、アストロロジャーとクライアントが、チャートという一枚の地図を携えて世界の中に分け入っていき、クライアントが経験している事象の意味を探し出そうするかのようです。このように考えていくと、占星術というパースペクティブを通して世界を眺めるというプロセスは、チャートを解読する上で不可避なことであるように思えてきます。そして、このプロセスは、事象を主観的にとらえるのか客観的にとらえるのか、クライアントの心の状態に言及するのか否か、そういったこととは別に、占星術にとって必然的なことではないでしょうか。鏡氏の論文を読んで、チャートを読み解くことは、占星術のパースペクティブを通して世界を読み解くことであり、その過程を通して、日々出会う体験に対し生き生きとした意味を与えてくれるものであるという思いを強くしました。